SONICWIRE

富永 豊 氏

BGM PACK SPECIAL INTERVIEW / Presented by Crypton Future Media, INC.

WEBコンテンツを世界へ配信する機会も次第に増え、効率的な制作環境の構築と、安心できるサウンドの入手は急務となっています。これらの問題や、映像業界とサウンドの関係、BGM/効果音を配信するダウンロード販売サイト『SONICWIRE』について、数々の映画/CM等の音楽制作、アレンジ、選曲効果等も手掛け、SONICWIREでライセンスフリーBGMも展開しているAquasuite Music Deliveryの富永氏に、お話を伺いました。(2013年10月)

まず、簡単に経歴をご紹介いただけますでしょうか。

映画関係の学校を卒業して映画制作の現場を経験した後、音楽制作会社に入社、さまざまな番組・CM・ビデオパッケージ等の音楽を制作・作曲・選曲させて頂きました。独立してしばらくフリーで仕事したあと音楽探険隊やSaescape Creationという会社を作って現在に至っています。約30年いろんなジャンルの音楽を作曲・制作してきました。また音響効果としても様々な作品に幅広く参加してきました。

ありがとうございます。長らく映像業界に携わっておられるのですね。映像業界における、効果音/BGMのあり方は、昔と変わりましたか?

そうですね、映像とサウンドは切っても切れない関係にあってそれは昔も今も変わりませんが、とりまく環境は随分変わりましたね。もちろん機材や作業の流れも変わりましたが、一番大きいのはディレクターや映像制作者が、音楽事務所や音効さんを絡めないで音響制作ができるようになったということです。現在はDTMで簡単に音楽制作ができますし、音楽・効果音ライブラリーもネットで簡単に手に入るようになり、自ら音楽制作や選曲しているディレクターも増えています。それからサウンドが使用される環境としては従来からある、TV、ラジオ、映像コンテンツやイベントに加え、web上で公開される作品に使用される事が非常に増えています。

なるほど。コンピュータの性能向上やインターネットという新たなメディアの登場により、映像とサウンドがミックスされるプロセスに変化が起きたのですね。今の映像業界にはどんな傾向のサウンドが求められていますか?

サウンドの好みは人それぞれです。80年代だと映像業界でBGMといえばフュージョンが流行っていたんですけど(笑) いつの時代もセンスがいいBGMや効果音が求められるのはもちろんですが、実はそれ以上に今求められているのは権利関係のはっきりしたサウンドだと思います。例えば、WEB上にアップしたコンテンツは海外からもアクセス可能、つまり世界中に発信する事ができます。逆を言えば世界からのクレームに対して対処できるように、権利関係をクリアしておかなければなりません。著作権や原盤権という言葉を知っている人は多いと思いますが、詳細まで具体的に把握している人は少ないものです。私の事務所でも楽曲の使用可否や料金に関する問い合わせをもらいますが、私も実際には、問い合わせてきた方の代わりに各所へ問い合わせて調べているだけなんです。そもそも私の事務所で判別するものではないので。そして海外のサウンドライブラリーが増えている今、代理店を通さないなら、権利関係、使用条件、金額などの詳細を自分たちで調べなければいけません。事故がおこった時のペナルティーは想像がつかないほど恐ろしいものですから、そのことを考えると、安全でセンスの良いサウンドが求められているのではないでしょうか。

安心安全でハイクオリティのサウンドが求められているのですね。サウンド専門のダウンロード販売サイト『SONICWIRE』では、音楽制作や映像制作向けの様々なサウンドが販売されていますが、ご自身の制作で使用されたことはありますか?

SONICWIREのコンテンツは音楽制作にたずさわった人ならほとんどの方がご利用された経験をお持ちなんじゃないでしょうか。それくらい認知されて必要かつ安全なコンテンツが揃っていると思います。私も当初から音楽制作におけるコンテンツを使用しています。VIENNA SYMPHONIC LIBRARYのソフト音源などは今の音楽制作には欠かせない音源ですからね。しかし、それ以上に映像業界として注目したいのは効果音とBGMです。中でも、手に入りそうで実は手に入らないのが効果音だったりします。たとえば「波の音」のように比較的身近な音ですら、風や車や人の声などに邪魔されてきれいに録音できないんです。そういったときには、SONICWIREのライブラリーを使ったりします。BGMは不思議なもので何千曲持っていても目当ての曲がなかなか見つからないものです。イメージに合わなかったり、何度も使用していて使いづらかったり・・・。しかし初めて聞くBGMは新鮮に聞こえ、新しいイマジネーションが湧いたりします。SONICWIREのBGMはいろんなジャンルが数多く揃っているので、アイディアを考える手助けをしてもらったりもしますね。MUTANT から直接SONICWIRE に行けるのもいいですね。そういえばMUTANT は無償ソフトですが非常に便利ですね。

MUTANT も使用いただいているのですね! MUTANT を使っていて便利だと感じることはありますか?

そうですね。30 年前は音楽や効果音を6mm テープに録音して管理していました。そしてそのテープを掛け替えながら音を選んでいたので、物理的にも時間的にも手間のかかる作業だったのです。しかし、現在はほとんどの方がそうだと思いますが、音楽や効果音をコンピューターで管理できるんです。昔に比べるとあり得ないくらい便利になりましたが、それでもファイルが多くなると選び出しに手惑います。どこにしまったかわからなくなったり、どこかに移動していたり、最悪なのはいつの間にか削除してたり・・・テープ等で物理的に管理しない事が、そのような事態を招いたとも言えますが、どちらも一長一短です。MUTANT の良いところは、BGM・効果音に限らず、所有するサウンド全てを一元管理できるところですね。キーワードで検索してどんどん聞いて選んで、必要なサウンドを見つけたらすぐドラッグ&ドロップでコピーしていける。元ファイルを消してしまう心配も限りなく少なく、しかも所有している音源だけで足りないときに、オンラインでSONICWIREのコンテンツを選んで購入できますから、かなり幅広い選曲・音効作業ができます。毎週コンテンツは増えていくし、新しいアイディアの宝庫になるでしょうね。探したいときに探せて、必要なときに手に入る。オンラインでの作業・購入は後に戻れない魅力がありますし、そういったところも含めて、今後の主流になっていくのではないでしょうか。

より便利なツールとして進化していくことを期待したいですね!富永さんが手掛けたライセンスフリーBGM は、現在、SONICWIRE で展開中ですが、これらのBGM はどのような用途を想定して制作されたのでしょうか?

BGM ライブラリーは従来から業務用要素の強いものなので、使用者は音響効果関係の方が多く、そのニーズに応える楽曲を制作し、CD にして提供するのが普通だったんです。CD という物理的な入れ物での提供なので、ある程度まとまった数を購入したりと、価格も時間も大幅に費やしてしまうのは仕方がありませんでした。しかし、SONICWIRE ではコンテンツをオンラインで提供できるので、極端な話、制作した翌日には配信/販売し始めることができるんです。つまり、市場の要求する音楽をとても素早く提供できる環境なんですね。しかも、1 曲ごとのバラ売りも実現可能になります。イメージに合う楽曲を手に入れる為に必要の無い楽曲にお金をかけなくても済むので、ディレクターや一般のアーティストのようにストックが必要ない方でも、音響効果の方のように自由にBGM を選ぶことができるんです。SONICWIRE には、海外の音楽ライブラリーも数多くありますが、私どもの提供する楽曲はMade in Japan です。日本人のアーティストによって制作されています。自分の作品を全世界に発信したいクリエイターさんのオリジナル作品、世界に自社製品をアピールする企業映像作品などにも、権利をクリアした魅力的で安全な楽曲としてお使いいただけると思います。長く映像音楽を制作してきた実績が、BGM の使いやすさに表れているのではないかと思っています。

日本の実情に最も適した形を選択されたということなのですね。ありがとうございました!

富永 豊 氏

AQUASUITE MUSIC DELIVERY主宰。音楽会社やフリーランスでの活動の後、1990年に(株)音楽探険隊を設立。音楽制作を中心に選曲、音響効果等、ポストプロダクションとして活躍する。2001年に(株)音楽探険隊を若手スタッフに託し独立、2004年に法人化に合わせ、新たに「DTPデザイン部」を発足、従来の音楽制作を「ミュージックデザイン部」として2部門による(株)シースケープクリエイションを設立。現在に至るまで、数多く作曲/選曲をこなしている。

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