2025年7月21日、当社クリプトン・フューチャー・メディア株式会社は、30周年を迎えました！
思い返せば、設立したのは平成7年7月でした。いまは令和7年7月ですから、年号が一回りしたことになります。30歳で起業したので、私も今年ついに還暦を迎えました。
当時は、インターネットがまだ社会に十分に広まっておりませんでした。電話、新聞、放送など伝統的なメディア産業がとても幅を利かせていた時代です。インターネットやパソコン類で何かを興そうとする新興勢力は、ちょっと変わった人たちに分類されていたと思いますし、まだ世の中の多くはこれから来る変化に気づいていなかったと思います。だからこそ、「どうしてもデジタルのその先を自分自身で探求したかった」ため、自分が住む札幌で起業しました。起業の経緯やなぜ札幌で起業したのか？は、設立20周年のメッセージに記されております。
この30年で、音楽に関わる環境（制作・流通・宣伝など）は、がらりと変わりました。パソコンの中にDAW（音楽制作ソフト）というスタジオがあり、バーチャル・インストゥルメント（仮想楽器）は、ドラムやオーケストラだけでなく、VOCALOID（ヤマハ株式会社が開発した音声合成技術）の登場以降は人の歌声もコンピュータで制作できるようになりました。制作した音楽は、動画サイトや音楽配信サービスを通じて公開することが一般的となり、自作の音楽が届けられる距離は日本国内からグローバルへと急拡大しました。またSNSを活用することで個人がメディアとなり、新作情報なんかもカジュアルに情報発信できるようになりました。
当社では、祖業であるDTMソフトウェアの販売を箱売りから、「SONICWIRE」を通じたオンライン配信へと2007年にいち早くシフトしました。また、音楽クリエイターが自分の音楽を世界で販売できるサービスとして「ROUTER.FM」を2010年からスタートし、Apple MusicやSpotifyなど世界中のストリーミングサービスや、Finger Printサービス、動画ストリーミングサービスに、ワンストップで納品できるインフラ体制を整えてきました。他にも、スマホ向け音楽カードの「SONOCA」や、ミュージシャンのための照明コントロールツール「COUGEN」など、音楽クリエイターの表現の幅を広げるサービス開発を手がけてきました。
初音ミクたちピアプロキャラクタ－ズに関する取り組みも活発に進めており、今年2025年1月には初音ミクを描いた初のアニメ作品である『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』が全国で封切。4～5月には国内7都市を巡るコンサートツアー「初音ミク JAPAN LIVE TOUR 2025 ～BLOOMING～」を完走、11月には初のアジアツアーとして「HATSUNE MIKU EXPO 2025 ASIA」の開催を予定しています。また、初音ミクや当社の取り組みが、産業や文化の好例としてメディアに採り上げられる機会も増えて参りました（※）。
当社では、これら多くの業務を、本社のある札幌市で進めています。インターネットの可能性を信じて、インターネットがまだもの珍しかった時代に起業した当社では、創業当初よりインターネット回線をオフィスに導入しサーバー構築して使い倒してきました。だから、地方都市である札幌から世界を相手にビジネスができたわけです。起業から30年が経ち、インターネットは最前線ではなくなったけれど、社会インフラとして完全に根付きました。そしてインターネットというインフラのその上に、様々な技術が生まれている（AI、ブロックチェーンなど）。これらの技術もいずれインフラとなり、必ず音楽クリエイターに影響を与えるし、それにより音楽もクリエイターにも変化をもたらすはず。ワクワクする未来はこれからも続きますし、クリプトンはそういう技術にも関心を寄せ続けていきたいと考えます（ミライを一緒にツクル仲間も募集しています！）。
30年は案外あっと言う間でした。これから先もミライは続きますし、皆さまと一緒にこれからも歩んで行きたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします！
2025年7月21日
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
代表取締役 伊藤博之
